中国宋代に発展して以来、中国・日本の文人たちに広く享受された「花鳥画」は、花、鳥はもちろん、動物、虫、魚、蔬果など、あらゆる生き物を対象とします。さまざまな組み合わせをもって描かれた花鳥画には、富貴、不老長寿、立身出世、子孫繁栄といった吉祥を表す寓意が込められたものが多く、近代文人画の巨匠・富岡鉄斎もまた、こうした謎語画題が織り込まれた花鳥画を好んで描きました。
「鉄斎の花鳥画」前期展では、風に揺れる牡丹の花と蝶を濃彩で描く《富貴国香図》、孫娘の結婚を祝して描いた《楳花山茶水仙華図》、清の金冬心や姚若翼の手法に倣って画中に花弁や菩提樹を貼り付ける《静観楽事帖》など、晩年の名品を中心に鉄斎の花鳥画を紹介します。
「鉄斎の花鳥画」前期展は、8月1日(木)までの開催です。是非、ご来館ください。